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沢内・貝沢の
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西和賀町の旧沢内村貝沢に、天然記念物に指定されている
ミネザクラがあるというので訪ねてみました。現地で探しあぐね
て困りましたが、農作業中の人を見つけて所在地を尋ねたとこ
ろ、作業を止めて案内してくれました。西和賀では往々にしてこ
のように対処していただいており、現地の人たちの温かい心根
に触れる思いがします。
5月中旬のことで、ミネザクラは満開で迎えてくれました。その
質素で素朴な姿に心打たれ、若葉の時期に再度訪れて、その
若葉の表情も観賞することになりました。 |
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(西和賀町指定の天然記念物)
所在地 西和賀町貝沢 |
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このミネザクラは、2003年(平成15年7月25日に天然記念物に指定されています。西和賀町教育
委員会からいただいた資料によると、木の最高部は1.8メートル、東西の広がりは4.7〜6.4メートル、
南北へ7.9メートル、幹(根に近い部分)の直径が約20センチメートルとなっています。樹齢はわかり
ませんが、幹の太さや枝分かれの状況からして、相当の年月を経ているのは明らかです。樹木図鑑
などによると落葉小高木として上に伸びる性質があるということですが、この木は地表を這うような姿
勢で、横に伸びています。
花の咲き具合をよく観察すると、全枝一斉に花をつけるのではなく、一部の枝の花の時期はずれて
いるようです。花が咲き実を結ぶ時期の気候変動に備えたものなのでしょうか。
ミネザクラは低地では見られないサクラで、西和賀町内でも低地では見られず、山から取ってきて
移植されたものと考えられています。 |
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若葉の表情 |
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遅咲きの花が咲いていました。 |
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貝沢野 ハッチョウトンボ棲息地
(自然環境保全地域) |
ミネザクラのある貝沢地域は高下岳麓に広がる原野が開墾されたところで、周辺には豊かな自然が
残されています。しかし開発がすすむにつれて自然も失われてきており、自然環境保全も大きなテー
マになっています。 |
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この地にいっぱい棲息していたハッチョウ
トンボも少なくなって、「貝沢野 ハッチョウ
トンボ棲息地」として、自然環境保全地域
が設けられて保護されています。 |
日本で一番小さいトンボというハッチョウ
トンボについての解説板もあります。
発生場所が限られてしている希少なトン
ボで、全国各地で絶滅が危惧されてい
ます。 |
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(西和賀町指定の天然記念物)
所在地 西和賀町鍵沢 |
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雪の深い西和賀地方では、春の雪解けとともに多くの草木が一斉に花を咲かせます。
ミネザクラが満開なので、同じく町の天然記念物に指定されている鍵沢のシダレサクラ
を訪れると、やはりこちらも満開でした。
このシダレサクラは1本立ちして、絶好の観賞の対象となります。、高さ約13メートル、
周囲3.6メートル、樹齢は200年余とされています。 |
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(西和賀町指定の天然記念物)
所在地 西和賀町新町 |
このシダレサクラは、樹齢は鍵沢のシダレサクラとほぼ同じくらいと推定されています。
旧家の屋敷にあるもので、言い伝えでは何代目かが伊達に行った帰りに2本の桜を持ち
帰り植えたものということです。 |
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ミネザクラの豆知識
ミネザクラ(峰桜)はタカネザクラ(高嶺桜)ともいわれ、その分布は本州(中部地方以北)、
北海道、南千島、サハリンで、学名はPrunus .nipponicaと命名されています。サクラの仲間
ではもっとも標高の高いところに生育し、北海道では低地にも見られますが、本州中部地方
では標高1000〜2800メートルの山地から高山に生えます。樹形は落葉小高木で、高さ2〜8
メートル、直径20センチ程になります。幹は基部から枝分かれします。花は5〜7月に葉の展
開とほぼ同時に開花するのが一般的ですが、観察した時の貝沢のミネザクラは、花が先行し
て開花していました(2012年5月中旬)。
サクラは植物分類学上ではバラ科の系統図(バラ科目ーサクラ亜科ーサクラ属ーサクラ
亜属)の一番下に位置するサクラ亜属の落葉性高木または低木で、とくに花の美しい種の総
称です。正確には 「サクラ」という名の植物はありません。
日本には6系統の原種の流れをくむサクラが300品種以上存在するといわれていますが、
ミネザクラはその基本となった10種のうちの1種ということになっています。 |
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