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盛岡市は独自に13件について天然記念物の指定をしております.。その内の5件はサクラで占められており、指定する天然記念物の4割近くがサクラになっているわけで、「桜の都」と呼ぶにふさわしいものと言えるでしょう。岩手県内の市町村ではサクラを天然記念物に指定している例は多く、遠野市は12件に上っています。ここでは天然記念物の指定が42件と全体としても多いのですが、その3割近くはサクラなわけで、遠野市でのサクラ探索も楽しそうです。その他サクラの天然記念物指定では、花巻市(8件)、平泉町(6件)、大船渡市(5件)、奥州市(4件)などが目立ちます。
盛岡市が天然記念物に指定している5件のサクラのうち4件はシダレサクラで、残る1件はエドヒガンです。市が「保存木」として指定している上米内浄水場のサクラもシダレザクラです。それぞれの花の時期にめぐり歩いてみました。 |
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盛岡市指定の天然記念物
所在地 盛岡市愛宕町14-1 |
所在地の町名・番地から、盛岡市中央公民館の敷地内にあるのかなと探しましたが、そう
ではなくて道路歩道の一角にありました。この地は昔は武家屋敷のあとと思われ、庭の中心
木として藩政時代に植えられたものと思われます。単弁淡紅色で、なかなか見栄えがありま
す。幹の空洞はたしかに気になります。 |
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(案内板より) 愛宕町のベニシダレ (天然記念物指定 昭和42年11月22日)
盛岡市付近に植栽されるベニシダレのうち最大である。ベニシダレは個数は多くはないが、
ほかには下米内の田鎖邸にも植栽されている。当ベニシダレは主幹に空洞があり、自動
車の排気ガスの影響が心配される。
1972年の測定によれば、樹高7m、根本径0.71m、枝張り7.9m、樹齢は庭木として植栽
されているので肥大は小さいが年3.5ミリメートル肥大するとみて、220年生前後と推定さ
れる。
所有者 盛岡市教育委員会 昭和57年 月
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盛岡市指定の天然記念物
所在地 盛岡市名須川町3-16 |
本誓寺境内に入るとすぐ目につきますが、花は小さく、これといった引きつけるものは
ありません。観賞価値には欠けますが、花が小さくて枝垂れるという希少価値の珍木
ということでしょう。 |
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(案内板より) 本誓寺のホンセイジシダレ (天然記念物指定 昭和42年11月22日)
この木は「ソメイヨシノ」と「シダレヒガン」の雑種と考えられます。特徴はソメイヨシノと
比べて花の各部が小さいこと、葉季性(花より葉が早く開く)、シダレ性(枝が垂れ下がる)の
3点です。ソメイヨシノに比べ、花の各部が小さく、葉季性のものを「シラタキザクラ」と言いま
すが、シダレ性のものは極めて稀な品種であったため、生育地を記念して「ホンセイジシダ
レ」と命名されました。開花の季節には清楚な花を咲かせます。
平成15年(2003年)の測定によれば 樹高6.0m、目通周1.1m、樹齢80年生と推定。
所有者 本誓寺 平成15年12月
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盛岡市指定の天然記念物
所在地 盛岡市北山1-4-10 |
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「龍谷寺のモリオカシダレ」と同じ品種で、龍谷寺のものが枯死した時の後継樹として
盛岡市が天然記念物に指定したようです。同じ日に見比べましたが、花はたしかに龍谷
寺のものよりこちらの方が大きいようです。境内で眺めていると、庫裏からお住まいの人
が出てこられて、いろいろ説明して下さいました。この寺には、やはり盛岡市が天然記念
物に指定しているヒイラギもあります。 |
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(案内板より) 法華寺のモリオカシダレ (天然記念物指定 昭和55年4月1日)
この桜は「シダレヒガン」と「オオシマザクラ」の雑種で、樹齢50年〜60年と推定され、
今後百年は現状維持できるものと推定される。市内名須川町龍谷寺のモリオカシダレ
は(国指定)現在生育は多少回復してきているが、老化が著しいので、その後継樹とし
て最適のものである。
昭和62年(1987年)測定によれば、樹高6.3m、根元の幹囲1.85m、胸高の幹囲
1,53mである。枝張りは東西へ13.7m、南北へ11.9mである。
龍谷寺のものに比較して、花が大きく、オシベに徴毛がある点で多少異なっている。
平成元年12月 |
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盛岡市指定の天然記念物
所在地 盛岡市上米内字赤坂54-11 |
場所を探し当てるのに苦労しましたが、花で着飾って迎えてくれました。この樹は明治・
大正期から盛岡の好事家間にはシダレヒガンの大木としてもてはやされたそうです。往
年の頃は大きく2つにわかれた幹が評判を集め、天然記念物に指定される直前の昭和46
年(1971年)の測定でも樹高は15mを記録しています(現在は9m)。写真で見るように、
寄る年波と菌害で幹の根元部分は大きく朽ちて崩れており、残念ながら何十年と生き続
けることは難しいでしょう。 |
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(案内板より) 上米内のシダレザクラ (天然記念物指定 昭和47年1月22日)
シダレザクラは、本州・四国・九州の低山に広く分布する野生種のヒガンザクラの枝が
垂れ下がったものである。平安時代から庭園や社寺の境内などに植えられており、花
の優雅さと長い寿命が特徴である。
平成11年(1991年)の調査では、樹高9.00m、根元周囲3.80m、目高周囲3.54m、
樹齢約300年以上と推定されている。
盛岡出身の海軍大将で総理大臣を務めた米内光政の先祖の屋敷にあったので、
大正時代以前から米内家の「庭前の桜」という名で呼ばれていたという。
平成18年3月 |
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盛岡市指定の天然記念物
所在地 盛岡市山岸字名乗15-14 |
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地元の人を除くと、この樹の存在を知る人は少ないでしょう。藩政時代に盛岡市と
沿岸北部を結んだ「塩の道」沿いにあります。平成2年(1990年)に盛岡市の天然記
念物に指定されており、天然記念物としての指定は最も新しいものになっています。
現地では案内板が朽ち果て倒れていましたが、6.5mあるとされる幹のしめ縄が、こ
の樹に寄せる地域住民の人たちの気持ちを表しています。
案内板が失われて詳細はわかりませんが、このエドヒガンは樹齢300〜400年で、
樹高は18m、幹回り3.5mということです。昔から農作業の時季を知らせる「種まきザ
クラ」として保護されてきたようですが、地元名乗り町内会の人たちが、地域の歴史を
起こそうと1997年から奉納行事を行うようになり、現地で見かけた幹のしめ縄は、その
奉納・祈願のものだったというわけです。 |
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盛岡市指定の「保存樹木」
所在地 盛岡市上米内字中居49 |
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かつて訪れる人も少なかった盛岡市上米内にある浄水場。いまやその美しいシダレザクラで
有名になり、花の時期は多くの人でにぎわいます。たしかに八重・紅・枝垂れ・のヒガン桜群は
美しく、各地のサクラの名所ソメイヨシノにはない味わい深い趣があります。 |
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(案内板より) ヤエベニシダレヒガン群 (盛岡市の「保存樹木」に指定 昭和50年)
昭和9年の盛岡市上水道創設を記念して、9本の桜を植えたのが始まりで、推定樹齢80年
(平成17年3月現在)となっており、盛岡市の名木として「保存樹木」※に指定されています。
桜の開花時期はソメイヨシノに比較して遅咲きで、例年5月上旬に見ごろを迎え、花は八重
咲きで20枚程度の花弁をつけます。
※由緒・由来がある樹木や、地域の人々に深い関わりを通じて親しまれ育てられてきた
盛岡市の名木と呼ぶにふさわしい樹木を「保存樹木」として指定しています。 |
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岩手大学構内のサクラについて |
「盛岡のサクラ」ということでは、天然記念物と関係はありませんが、岩手大学構内のサクラに
ついてもふれておく必要があります。構内にはシダレザクラやソメイヨシノが構内各所に群をなし、
その美しさを十分に観賞できますが、それと同時に、サクラの種類も豊富で、各種のサクラを観
賞・観察する絶好のフィールドにもなっているからです。
盛岡市上田にある岩手大学は、その農学部の前身は明治35年(1902年)に創設された盛岡高
等農林学校で、100年を超える歴史を有します。当時の敷地・用地はそのまま大学構内の一部を
構成していますので、かつて研究用、実験用、実習用などで植栽された樹木も多く、「上田の杜」
ともいわれる構内は豊富な樹種に恵まれ、巨木も立ち並び、さながら樹木園の感があります。
シダレザクラやソメイヨシノはそんな構内にあって美しさを競っているわけですが、その一方で、
多くの種類のサクラをあちこちで見ることができます。代表的野生種のエドヒガン、ヤマザクラ、
オオヤマザクラ、オオシマザクラ、マメザクラ、カスミザクラのほか、シダレザクラではベニシダレ、
ヤエベニシダレもあり、さらにはウコンザクラ、サトザクラ(関山)、ジュウガツザクラ、セイ
ヨウミザクラなども見ることができます。またこれがサクラかと思われるような穂状の花をつける
ウワミズザクラ、シウリザクラ、イヌザクラも見ることができます。大学の構内という特別な環境と
はいえ、まとまった場所でこんなに多くのサクラの種類を見ることができるところはあまり例があり
ません。
花の時期に大学構内に赴き、図鑑など携えて散策したり、写真スケッチしてあとで調べてみたり、
いろいろなサクラの風情を楽しむのも一興といえましょう。 |
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