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早池峰ダムのダム公園PAから左に入ったところに久出内集落
があり、花巻市の天然記念物に指定されている「白山杉」と「山祇
桂」は、集落の奥にあります。その集落入口付近の右手に、樹形
が美しい大きな針葉樹が目に入りますが、それがやはり天然記念
物に指定されている「才の神のサワラ」です。周りに木はなく、2本
のスギを従えて颯爽と立っているその姿は非常によく目立ち、惹き
付けられます。
サワラは普通ヒバと呼ばれておりますが、調べてみますと県央
部の花巻市、北上市、奥州市、遠野市中心に、10件程天然記念
物に指定されているものがあります。その主なところを訪ねてみ
ました。
「ヒバ(檜葉)」という呼び名はヒノキ、アスナロ、クロベ、
サワラなど、ヒノキ科の樹木のうち、小枝が扁平に分枝し鱗片状
の葉をもつものの総称で、サワラも一般にはヒバと呼ばれてい
ます。
良材として有名な「青森ヒバ」は、津軽半島に多く生育するヒノキ
アスナロ(アスナロの変種)で、ヒノキともサワラともちがった樹種
です。青森ではもともと方言でヒバはヒノキのことを言っており、
人々にとってはヒノキアスナロこそがヒノキであるわけです。平泉
の中尊寺金色堂は、このヒノキアスナロで建てられています。 |
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花巻市指定の天然記念物)
所在地 花巻市大迫町内川目久出内 |
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樹皮はスギとそっくりで、ほとんど見分けがつきません。 |
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サワラの葉。一見ヒノキによく似ています。
ヒノキの仲間の見分け方
日本ではヒノキ科には、ヒノキ属、クロベ属、
ビャクシン属、アスナロ属の4属が分布して
います。サワラはヒノキ属に属し、よく似てい
ます。一番わかりやすい見分け方は、葉の
裏面に見られる白い気孔線を調べることです。
右図のようなちがいがあります。
(右図は学習研究社「日本の樹木06」から転用) |
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(解説版より) 大迫町指定天然記念物 才の神のサワラ
指定年月日 平成11年9月27日
樹 種 サワラ(ヒノキ科)
幹 周 り 約5メートル70センチ
樹 高 約21メートル
推 定 樹 齢 約500年
指定の事由 サワラはヒノキ科の常緑樹であり、ヒノキに酷似する。福島県以南
の暖かい場所に主に生育し、木曾地方に多いといわれるが、東北
地方では主に社寺の境内などに植えられている。
才の神のサワラの木は、早池峰山への古道の分岐点にあたる場所
にあり、才の神様は旅の安全を祈る神であることから、古道の目印と
して植えられたものと考えられる。サワラの木としては石鳥谷町光林
寺境内のサワラに並ぶ県内有数の巨木である。
大迫町教育委員会 |
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花巻市指定の天然記念物
所在地 花巻市石鳥谷町中林寺 |
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境内に見える右側の太い樹が、花巻市の天然記念物に指定されている「光林寺のサワラ」です。
真ん中に見える太い「スギ」も、「光林寺の杉」として、同じく天然記念物に指定されています。 |
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サワラは枝がまばらで、下から見ると空が透けたように見えます。 |
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遠野市指定の天然記念物
所在地 遠野市附馬牛町東禅寺 |
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場所は遠野市北部にある附馬牛町東禅寺。常福院から南に綾織に向う道路がありますが、
少し行くと、東禅寺跡があります。かつてそこには臨済宗・東禅寺が開かれ、15世紀中頃、
陸奥・出羽の両国禅宗寺院の筆頭として記される程の隆盛をみたといいます。それが慶長
年間(1596〜1615年)に全焼し、灰燼と化してしまったようです。専門家による発掘調査もさ
れており、それによると大規模な寺域を有していたのは明らかということです。
常福院は東禅寺の末寺ですが、東禅寺は盛岡2代藩主南部利直の菩提寺で、後、盛岡市
北山に移転・再興がはかられています。その移転・再興も4百年近い昔の話です。
写真のサワラはその常福院山門の左側にある巨木で、目通り周りは5m、樹高は26mとされ
ています。これは平成11年(1999年)遠野市の天然記念物に指定されました。写真にはあり
ませんが、山門を挟んで右側にはこれよりやや小ぶりのサワラがあって、同じような文化財
価値があるとして平成17年(2005年)に同じく天然記念物に指定されています。樹齢は共に
400年以上と推定されています。 |
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「サワラ」についての豆知識
サワラはヒノキ科ヒノキ属に属する樹木で、岩手県の早池峰山から九州・熊本県にかけて自生
しています。ただし四国での自生は見られないということです。分布の中心は東海から中部地方
の標高600〜1800mの山地帯から亜高山帯となっています。雪には弱く、日本海側にはほとんど
見られません。東北地方ではあまりなじみのない樹種ですが、一般にはビバと呼ばれています。
形態はヒノキによく似ていますが、材はヒノキに比べて柔らかく、スギ以上に柔らかいことから、
柱のような構造材には適しません。逆に加工しやすく、水にも強いので、風呂桶や家具などの加
工品に用いられました。しかし現在ではこうした需要は少なくいので、サワラの木材としての価値
はなくなって、植林されることはまずありません。 |
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