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碁盤の材料としては最高と言われているカヤ。碁石を置く
音の響きは格別ということで、その高級品は一面で数百万円
もするものがあり、囲碁を愛する人にとっては垂涎の的にな
っています。
このカヤは、自然分布としては宮城県がその北限とされて
いますが、岩手県内では植栽されたと思われるものが各地に
あり、なかには天然記念物に指定されているものもあります。
岩手県が指定しているものは2件あり、いずれも堂々として、
見るものを圧倒します。岩手県内の市町村が指定するカヤは
奥州市の4件を筆頭に、8市1町で延13件となっています。 |
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(岩手県指定の天然記念物)
所在地 一関市大東町猿沢字伊沢田南沢 |
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(解説版には次のように記されています)
岩手県内のカヤとしては、直径その他において最大木である。樹齢は700年前後
と推定される。根本は1本であるが、地上2.5米付近から太い枝が十本に分かれてお
り、その枝張りが箒(ほうき)状であるため、「箒カヤ」と呼ばれるようになった。
根周囲6.20米、目通り囲7.80米、樹高23米、枝張東西21米、根本径1.94米、目通り
径2.48米
(昭和51年3月県指定) |
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訪れたのは10月中旬。樹の下には実がいっぱい落ちていました。完全に熟し
ても仮種皮は緑色のまま裂開して落ちるのが特徴です。中には褐色の種子が
1個入っています。種子はかたい種皮に包まれています。
それにしてもこの調子で、辺りいっぱい。すごい数です。 |
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(岩手県指定の天然記念物)
所在地 北上市黒沢尻町小鳥崎 |
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北上市街地北東3kmほどの北上川の川辺にある大きなカヤです。岩手県内では
「猿沢の箒カヤ」についで大きいカヤといわれています。樹幹は地上1.3mのところから
2本に分かれ、四方に均整のとれた樹形をしています。樹齢約600年、雌株で幹回り6.35m、
樹高20m、幹には空洞はないと解説されています。
川辺から、かつての川面の舟の往来を眺めていたことでしょう。 |
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(盛岡市指定の天然記念物)
所在地 盛岡市乙部28地割 |
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盛岡市から大迫方面に向う国道396号線の乙部から、大ヶ生方面へ曲がる交差点
左側前方に立っています。円錐形の美しい樹形をしており、樹齢は250年以上、幹回り
3.8m、樹高18mと解説されています。このカヤはたくさんの実をつけることから雌の木と
考えられていましたが、平成6年の調査で雌雄同株であることがわかり、専門家からも
注目されています。 |
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(遠野市指定の天然記念物)
所在地 遠野市宮守町上鱒沢 |
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遠野市宮守町上鱒沢にある長泉寺にはカヤの老木があり、遠野市の天然記念物に
指定されています。食糧難の時の種子の採取などを目的に植栽されたと思われますが、
この樹の前に立つと、歴代住職が大事に育ててきたという解説が実感できます。幹回り
3.1m、樹高14mの案内札もついています。 |
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「カヤ」についての豆知識
カヤはイチイ科の樹木で、元来暖地性の樹木です。イチイと同じように雌雄別株ですが、
まれに同株のものがあります。このページで掲げた盛岡市の「菖蒲田のカヤ」はその特
例の一つです。日本で広く分布し、南は屋久島、北は宮城県が自生北限とされていますが、
岩手県内の県南や海岸地方にも数は少ないけれどもポツポツと野生のものもみられるよう
です。ただし一般に岩手県内で見られるカヤは植栽によるもので、実(種子)が油分を含ん
で栄養の高い食品として利用されてきたことから、各地の農家などで救荒植物として屋敷
内に植えることが多かったようです。農家の庭先などで見かけるカヤはほとんど雌株です。
花が咲いてその年は小さい実で越年し、翌年になって熟し、10月頃緑色のまま落下します。
この実は凶作の時は貴重な食糧になりました。材は耐久性、耐水性が高く、風呂桶や建築
材に使われてきました。碁盤には伐採して10年、製材して6〜7年を経たものを使うそうです。 |
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